均熱工程と溶融保持時間が決めるリフロー接合品質

均熱工程と溶融保持時間が決めるリフロー接合品質

リフローはんだ付けにおいて均熱工程溶融保持時間は、最終的な接合品質を大きく左右する重要なプロセスです。均熱工程は、部品や基板全体に均一な温度分布を与えるためのステップであり、その後に続く溶融保持時間が、はんだの濡れ性や接合強度を確保します。本記事では、この2つの要素がどのように品質へ影響するのかを解説します。

均熱工程とは?

均熱工程は、プリヒートゾーンで基板や部品をある程度温めた後、全体を均一な温度に整える段階です。局所的な温度差を解消し、部品ごとの熱応答の違いを吸収する役割を持っています。この工程が不十分だと、リフロー後に未溶融部はんだの偏りが発生しやすくなります。

  • 大型部品と小型部品の温度差を縮小
  • フラックスの安定した活性化を促進
  • 後工程での溶融反応を均一化

均熱不足によるリスク

均熱工程が短い場合、部品ごとに温度差が大きく残り、はんだの濡れ不足ボイドの発生につながります。また、逆に長すぎるとフラックスが劣化し、酸化膜除去の力が低下するため、溶融保持時間に入った際に十分な接合が得られません。

溶融保持時間の役割

均熱後にピーク温度へ到達し、はんだが液相以上の状態を維持する時間を「溶融保持時間」と呼びます。この時間が短すぎると完全な濡れが得られず、強度不足の原因になります。逆に長すぎると、部品への熱ストレスやフラックス残渣の劣化、さらには金属間化合物の過成長による脆弱な接合部を生む可能性があります。

目安となる条件

  1. 均熱工程:60〜120秒程度、基板全体の温度差を±10℃以内に抑える
  2. 溶融保持時間:40〜80秒が目安。部品サイズや鉛フリーはんだの特性により調整
  3. 温度プロファイル:急激な温度上昇を避け、1.0〜3.0℃/秒の範囲にする

安定した品質を実現するために

均熱工程と溶融保持時間の設計は、リフロー炉の特性や基板構造、使用するフラックスやはんだ材料によって最適条件が異なります。特に近年は、熱風と遠赤外線を併用した加熱方式など、部品や基板全体にバランスよく熱を届ける技術が普及しつつあり、従来よりも安定したプロファイル設計が可能になっています。

まとめ

均熱工程は「準備の精度」、溶融保持時間は「仕上げの確実性」とも言えます。どちらか一方が欠けても高品質な接合は実現できません。リフロー工程の最適化では、この2つを正しく理解し、バランスを取ることが最大の鍵となります。

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