フローはんだ付けとリフローはんだ付けの違いを徹底解説|特徴・工程・使い分けポイント

プリント基板の製造現場では、「フロー」と「リフロー」という2つのはんだ付け手法が広く使われています。本記事では、それぞれの特徴や工程、長所・短所を比較しながら、適切な使い分けのヒントを解説します。

フローはんだ付けとは

フローはんだ付けは、溶かしたはんだを槽に満たし、その上を基板ごと通過させて部品を一括ではんだ付けする方法です。槽内ではんだが噴き上がる「噴流」があり、これは主に二段階で行われます。

一次噴流

ノズルから勢いよく噴き上げ、基板や部品表面に残ったフラックスのガスや汚れを取り除きます。これにより未はんだ箇所を減らす効果があります。

二次噴流

比較的穏やかな流れで、一次噴流で生じたブリッジ(はんだの余分なつながり)を低減し、きれいなフィレット(はんだの仕上がり形状)を形成します。

長所・短所:大量生産に向いている一方、部品配置や高さの違いによっては均一なはんだ付けが難しく、ショートや未はんだが発生するリスクがあります。そのため、設計段階で部品配置やパターン設計に配慮することが重要です。

リフローはんだ付けとは

リフローはんだ付けは、基板上にクリーム状のはんだを事前に印刷し、その上に部品を配置してから加熱炉で溶かす方式です。主に表面実装部品(SMD)に用いられます。

特徴

必要な場所に必要な量のはんだを正確に塗布できるため、ブリッジなどの不良が発生しにくく、高精度な実装が可能です。また、軽量部品であれば、基板を裏返して再度炉に通すことで、表裏両面の部品を同時にはんだ付けできる場合もあります。

課題

スルーホール部品のはんだ付けには不向きであり、クリームはんだ印刷用のメタルマスクが必要です。基板パターンを変更する際はマスクを作り直す必要があるため、段取り替えに時間がかかります。

2つの手法の比較と使い分け

簡単に整理すると、

  • フロー:溶融したはんだを部品に直接当てる方式
  • リフロー:固体のはんだを部品に載せ、加熱して溶かす方式

両者の長所・短所はほぼ逆で、製品や生産条件によって使い分けられます。場合によっては、片面をリフロー、もう片面をフローで処理するなど、組み合わせて使うケースもあります。

ポイント:部品がすでに搭載された面にクリームはんだを印刷することはできないため、組み合わせ工程では通常、リフローが先行します。

製品仕様や部品構成に応じて最適な方法を選び、時には両者を併用するのが効果的です。

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