基板実装で発生する不良と対策【工程別解説】

基板実装では、製品の性能や信頼性に直結するさまざまな不良が発生します。本記事では、印刷・搭載・加熱・保管の各工程ごとに、代表的な不良例と原因、そして対策方法をわかりやすく解説します。

印刷工程で起こる不良

はんだ不足

クリームはんだの量が不足すると、部品と基板の接合が不完全になり、強度不足や通電不良の原因となります。ステンシルの目詰まりや印刷ミスが主な要因です。
対策:印刷精度の確認、ステンシルの定期清掃、ペースト保管環境の管理

ブリッジ

隣接する端子間がはんだでつながり、ショートする不良です。印刷量過多やテンプレートの精度不良、部品ズレが原因となります。
対策:印刷量の調整、テンプレート精度改善、部品配置の最適化。

濡れ性不良

はんだが端子やランドに広がらず、斑点状やツヤのない仕上がりになる不良です。酸化膜の存在やフラックス不足、温度条件不適合が原因です。
対策:部品・基板の洗浄、酸化膜除去、温度プロファイルの見直し。

搭載工程で起こる不良

マンハッタン現象(チップ立ち)

チップ部品の片側が浮き上がり、もう一方だけが接合された状態です。印刷の不均一や部品搭載のズレ、基板面の傾きが要因です。
対策:印刷均一化、マウンター精度の点検、基板設置面の調整。

部品位置ズレ

部品が規定位置からずれて搭載される不良です。機械の精度低下や搬送中の振動が原因です。
対策:実装機の定期メンテナンス、搬送条件の改善。

リフロー(加熱)工程で起こる不良

ボイド

はんだ内部に発生する気泡や空洞で、放熱性や電気的接続を阻害します。ペーストの印刷ムラや基板の湿気が原因です。
対策:予備加熱による水分除去、加熱条件の最適化、ペースト管理。

イモはんだ

はんだが完全に溶けきらず接合が不完全なまま固まった状態です。温度不足や加熱時間不足、急冷が原因です。
対策:適正温度・時間の確保、冷却条件の見直し。

はんだボール

リフロー中に微小なはんだ粒が飛散し、基板上に付着する現象です。過剰なはんだ量や急激な加熱が原因です。
対策:ペースト量管理、加熱プロファイルの緩和、搭載精度向上。

保管・使用環境で起こる不良

静電破壊(ESD)

静電気により半導体部品が損傷し、動作不良を引き起こします。作業者や環境条件が原因です。
対策:静電気対策(リストバンド・静電靴)、湿度管理、ESD保護資材の使用。

腐食

基板や部品の金属部分が酸化や化学反応で劣化する現象です。フラックス残留や湿気、化学物質が原因です。
対策:洗浄の徹底、防湿保管、耐腐食材料の採用。

経年劣化

長期間の使用により部品や接合部が劣化し、不具合が発生します。熱・湿気・振動・紫外線が主な要因です。
対策:高信頼性部品の採用、放熱設計の強化、定期点検の実施。

まとめ

基板実装の不良は、工程ごとに発生原因が異なります。印刷・搭載・加熱・保管の各段階で予防策を講じることで、不良発生を大幅に低減できます。品質向上のためには、工程管理と作業者教育の両立が不可欠です。