ピーク温度と冷却条件が左右するリフロー品質
リフロー工程におけるピーク温度と冷却条件は、はんだ接合の最終品質を決定づける重要因子です。ここでは、温度プロファイルの基本と合わせて、品質安定化のための設計指針を解説します。
温度プロファイルの基本構造
リフロー工程は大きく4つのゾーンで構成されます。それぞれの役割を理解することが、最適化の第一歩です。
- プリヒート:基板と部品全体を均一に温める準備段階。フラックスの活性を安定させる。
- ソーク(均熱):酸化膜を除去し、部品間の温度差を最小化。
- リフロー(ピーク):はんだを完全に溶融させ、濡れ性を最大化する。
- 冷却:凝固を安定させ、クラックやボイドを防ぐ最終工程。
ピーク温度が与える影響
- 低すぎる場合:はんだが完全に溶融せず、濡れ性不良や未接合を引き起こす。
- 高すぎる場合:部品樹脂の劣化、銅溶出、フラックス劣化など信頼性低下につながる。
鉛フリーはんだ(Sn-Ag-Cu系)の場合、235〜245℃を目安に設定するのが一般的です。
冷却条件の重要性
冷却は「品質を固める」最終工程です。緩慢すぎる冷却ではボイドやクラックが発生しやすく、急冷しすぎると内部応力が増して破断のリスクが高まります。
- 理想的な冷却速度:2〜4℃/秒
- 部品サイズや基板構造に応じて緩急を調整することが重要
設計指標のまとめ
温度プロファイルを設計する際の基本指標は以下の通りです。
- 昇温速度:1.0〜1.5℃/秒
- 溶融保持時間(液相以上の滞留時間):40〜70秒
- ピーク温度:235〜245℃(鉛フリー)
- 冷却速度:2〜4℃/秒
最適化のポイント
- 基板形状・部品構成に応じて、ゾーンごとの温度を実測し調整する。
- 大型GNDパターンやBGA実装では、下部ヒーターを活用して均熱化。
- 搬送速度とゾーン温度を組み合わせて、品質とスループットを両立。
- 冷却工程を軽視せず、応力低減と凝固安定のバランスを取る。
まとめ
温度プロファイル設計は、単なる温度設定ではなく「品質設計」そのものです。特にピーク温度と冷却条件は、最終的な信頼性を左右する決定的な要因です。設計指標を守りつつ、基板特性に合わせた最適化を行うことが、不良ゼロを実現する近道です。