リフロー工程で最終品質を決定づけるのは、ピーク温度と冷却条件の設計です。 適切な温度プロファイルを描けなければ、濡れ不良やボイド、はんだ割れといった不具合が繰り返し発生します。
この記事では、温度プロファイルの4ゾーン構成を基に、ピークと冷却の最適化を通じて品質を安定させる方法を解説します。
特に、上部熱風に頼らず下部加熱と遠赤外線を活用した熱バランス設計が、信頼性向上のカギとなります。
温度プロファイルの基本構造
リフロー炉の温度プロファイルは大きく4つのゾーンで構成されます。それぞれの役割を正しく理解することが最適化の第一歩です。
- プリヒート:基板全体をゆっくり均一に温め、フラックスを活性化させる段階。急加熱は活性成分の揮発を招くため禁物。
- ソーク(均熱):酸化膜を除去し、部品ごとの温度差を減らす工程。均一な熱分布を確保するため、下部ヒーターを効果的に活用。
- リフロー(ピーク):はんだを完全に溶融させ、濡れ性とセルフアライメント効果を引き出す。ここでの温度管理が最も重要。
- 冷却:凝固と結晶形成を安定させる最終工程。冷却速度を誤ると、応力や割れが発生する。
これら4ゾーンは「時間で区切る工程」ではなく、「熱をどう伝え、どう逃がすか」を設計するプロセスと捉えることが大切です。
ピーク温度が与える影響
ピーク温度は、はんだの完全溶融と金属間化合物の形成を決める要素です。 ただし、高すぎても低すぎても品質を損なうため、適正範囲の維持が求められます。
- 低すぎる場合:はんだが完全に溶けず、濡れ性不足や未接合を起こす。ボイド残留や抵抗値上昇の原因にもなる。
- 高すぎる場合:部品樹脂や基板の熱劣化、銅の溶出、フラックス活性の失効を招く。酸化膜再形成が進み信頼性を損ねる。
最も重要なのは、「温度」ではなく「到達までの熱の流れ」です。
上部ヒーターで急加熱するよりも、遠赤外線加熱でじっくり内部を温める方が、安定した濡れと強固な接合を得やすくなります。
冷却条件の重要性
冷却は、リフロー工程における品質を固める最終段階です。 はんだが固まる際の温度変化が急すぎると、応力が部品やランドに集中し、クラックや剥離の原因となります。
逆に、冷却が遅すぎると結晶粒が粗大化し、はんだの強度が低下します。
そのため、適切な冷却速度の維持が不可欠です。
ポイントは、強い風で一気に冷やすのではなく、自然対流や穏やかなファンを使い、熱を逃がしながら徐々に温度を下げることです。
2〜4℃/秒程度を基準に、基板構造や部品サイズに合わせて調整します。
温度プロファイル設計の実践指針
プロファイル設計における基本的な考え方は以下の通りです。
- 昇温速度:1.0〜1.5℃/秒を目安に、下部ヒーターを活用して熱の追従性を確保する。
- 溶融保持時間(液相以上の滞留時間):40〜70秒を目安に設定。長すぎるとフラックスが枯れ、短すぎると濡れ不足となる。
- ピーク温度:Sn-Ag-Cu系鉛フリーでは235〜245℃を目安。過加熱を避け、遠赤外線加熱で安定させる。
- 冷却速度:2〜4℃/秒。応力緩和と結晶安定の両立を意識する。
これらは目安に過ぎず、実際には基板構造・部品密度・風量バランスを考慮して調整することが重要です。
最適化のポイント
- 基板形状や部品配置を考慮し、ゾーンごとに実測温度を確認する。
- BGAやQFNなどの大面積パッドには、下部ヒーターを中心に加熱バランスを取る。
- 搬送速度とゾーン温度を同時に調整し、スループットと品質の両立を図る。
- 冷却工程では急冷を避け、自然放熱を併用して応力を緩和する。
リフロー炉は「温める装置」ではなく、「熱を設計する装置」です。
遠赤外線と弱い熱風を組み合わせることで、熱の流れを制御し、最終的な品質を安定化できます。
まとめ
ピーク温度と冷却条件は、リフロー品質を決定づける最終要素です。 上部熱風のみに頼るのではなく、下部からの遠赤外線加熱と熱バランス思考で温度プロファイルを設計することが、信頼性向上への最短ルートです。
数値を整えるだけでなく、「熱をどう伝え、どう冷ますか」を設計する。
それが、不良ゼロを目指す温度プロファイル最適化の本質です。