フラックスは、電子部品実装におけるはんだ付け品質を大きく左右する重要な要素です。本記事では、リフロー炉で使用されるフラックスの役割から種類、選定のポイント、そして実装品質を安定させるための管理方法までを詳しく解説します。
目次
リフロー炉におけるフラックスの基礎知識と最適化ガイド
フラックスの役割
フラックスは、はんだ付け工程で金属表面の酸化膜を除去し、濡れ性を向上させる化学作用を持ちます。また、はんだ溶融時に酸化を防ぎ、適切な接合を実現するための保護膜としても機能します。
主なフラックスの種類
- ロジン系フラックス:安定した化学特性を持ち、広く使用されるタイプ。
- 水溶性フラックス:洗浄性に優れ、フラックス残渣の除去が容易。
- 無洗浄タイプ:リフロー後に洗浄工程が不要で、生産効率向上に寄与。
フラックス選定のポイント
フラックスを選定する際は、以下の条件を考慮する必要があります。
- 対象製品の用途と信頼性要求(例:車載・医療機器は高信頼性が必須)
- 基板材質や表面処理(OSP、ENIG、金フラッシュなど)
- リフロー炉の温度プロファイルとの適合性
フラックスの塗布方法と管理
フラックスの塗布量が多すぎると、リフロー後に残渣が多くなり、外観不良や絶縁不良の原因になります。逆に少なすぎると、濡れ不足や接合不良のリスクが高まります。スプレーフラックサーやディップ方式など、用途に応じた塗布方法を選定することが重要です。
リフロー炉とフラックスの相互作用
リフロー炉の加熱方式(熱風、窒素、遠赤外線など)やゾーン構成によって、フラックスの活性化タイミングや揮発特性が変化します。特に多ゾーン炉では、プリヒート区間での温度上昇速度(ランプアップレート)がフラックス活性化に直結するため、温度プロファイル設定は慎重に行う必要があります。
実装不良とフラックスの関係
ブリッジ、ボイド、濡れ不良などのはんだ付け不良は、フラックスの選定や管理不備が一因となる場合があります。定期的なプロファイル測定や、フラックス残渣の観察を行うことで、トラブルを未然に防げます。
まとめ
フラックスは、単なる補助材ではなく、はんだ付け品質を決定づける要素です。リフロー炉の条件設定や製品要求仕様に応じたフラックス選定・管理を行うことで、不良率低減と安定した生産を実現できます。