リフロー炉におけるプリヒートゾーンの役割と最適条件

プリヒートゾーンとは?

プリヒートゾーンは、リフロー炉において基板や部品をゆっくり均一に温める準備区間です。急激な加熱を防ぎ、部品や基板全体を滑らかに昇温させることで、後工程でのはんだ付け品質を大きく左右します。

プリヒートの役割

  • 熱ストレスの緩和:基板や部品を穏やかに加熱し、急激な温度変化によるクラックや反りを防ぐ
  • フラックス活性化:フラックスが適切に作用し、酸化膜を除去して濡れ性を向上
  • セルフアライメントの促進:はんだの表面張力が適切に働き、部品の自動位置補正を助ける

プリヒート不足のリスク

  • フラックスが暴発的に反応し、飛散や濡れ不良を招く
  • 基板内に温度ムラが残り、実装不良や反りにつながる

プリヒート過多のリスク

  • フラックス活性が終わってしまい、濡れ性が低下
  • 部品や基板に余分な熱ダメージが蓄積

プリヒート条件の目安

  1. 昇温傾斜(℃/秒):1.0〜3.0℃/sec
  2. プリヒート時間:60〜120秒程度
  3. 基板全体の温度均一性を重視

プリヒートの調整方法

  • ゾーン温度を上げ下げして加熱勾配をコントロール
  • コンベア速度を調整し、滞留時間を延長・短縮
  • 下部ヒーターを活用し、熱容量の大きい部品やGNDパターンへの熱伝達を改善

まとめ

プリヒートゾーンは、単なる予熱工程ではなく、実装品質を安定させるための基盤づくりです。適切なプリヒート条件を設定することで、セルフアライメントが最大限に働き、濡れ性や信頼性の高いはんだ付けが実現します。

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