1. 微細部品の温度プロファイル事例
小型セラミック基板やチップ部品は熱容量が小さく、加熱速度や温度管理を誤ると溶融不足や過加熱に直結します。実際の事例では、470℃という極端に高いトップヒーター条件を与えた場合、わずか40秒で不具合が顕在化しました。適切なプロファイル設計では、緩やかな立ち上げと短いプリヒートにより、理想的なはんだ濡れ性が確保されます。
2. スポットリフローとその影響
スポットリフローは特定箇所に局所的に熱を与える工法で、多ピンコネクタや大電流端子の補強に用いられます。しかし、25秒を超える加熱ではフラックスが劣化し、濡れ性が著しく低下する事例が報告されています。局所的な熱付与は有効ですが、総合的なプロファイル設計と併用しなければ品質安定性は得られません。
3. 特殊なはんだ付け実験例
耐熱性の高い無洗浄フラックスや特殊合金を用いた実験では、従来のプロファイルを適用するとボイドや濡れ不足が頻発しました。特に0.2mm以下の微細ランドではプリヒートによるフラックス揮発の影響が大きく、気泡混入が避けられません。このため、熱反応が緩やかで残渣が少ないタイプのフラックスや、局所冷却を組み合わせた工法が推奨されます。
4. 高融点材料の接合実験
金・錫メッキ(融点270~280℃)を用いた接合では、通常の鉛フリーより高温条件が求められます。リフロー条件としてはトップヒーターを320~330℃まで制御し、ピーク温度直前で短時間保持、その後急冷することで信頼性の高い合金層が形成されました。ポイントはフラックスの劣化を防ぐことと、メッキ表面の酸化膜除去です。
5. 部品・基板条件に応じた対策
- 薄い基板や小型チップ部品では、プリヒート短縮と下部ヒーター活用で熱拡散を抑制
- 厚基板や高熱容量部品では、トップヒーターよりも下部ヒーターの比率を高め、じわじわ加熱する
- 0603サイズ以下のチップ部品では、ランドメッキ厚や酸化状態が濡れ性を大きく左右するため、事前評価が不可欠
まとめ
リフロー工程の高度化に伴い、単純な「温度設定」だけでは不良対策は難しくなっています。微細部品、スポットリフロー、高融点材料といった多様な要求に応えるには、温度プロファイルの精密な設計とフラックス特性の理解が欠かせません。リフローラボでは今後も実装現場で役立つ知見を共有していきます。