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温度プロファイルの基本条件
はんだの融点(約220℃)から室温(約30℃)までの温度差は約190℃。この差を無理なく埋めるために、以下の条件が目安となります。
- 昇温速度:1.3〜1.4℃/秒
- 溶融保持時間:40秒以上
これらが満たされていれば、温度プロファイルとしては十分といえます。
プリヒートの役割
プリヒートは、部品や基板が急激な熱変化で損傷するのを防ぐ緩衝ゾーンです。
リフロー工程においては、部品や基板の熱ショックを和らげる効果が大きく、後付け修正を減らすポイントになります。
ただし、部品の種類や配置によってはプリヒートだけでは対応できない場合もあり、コンベア速度や下部ヒーター活用などを組み合わせて調整することが重要です。
溶融保持時間の重要性
溶融保持時間とは、はんだが融点を超えて液体状態を維持している時間を指します。これがリフロー品質に与える影響は非常に大きく、以下のような違いが現れます。
溶融保持時間が短い場合
- はんだが十分に広がらず、濡れ不足やボイド(気泡)が発生
- 接合部の強度が弱くなり、フィレット形成不良やクラックの原因に
- 大型部品や熱容量の大きいランドでははんだ流れ込み不足が顕著
溶融保持時間が長すぎる場合
- フラックスの劣化が進行し、濡れ性が悪化
- はんだの粒子が粗大化し、フィレットの光沢不良や強度低下
- 過熱により、部品や基板への熱ダメージが蓄積
コンベア速度との関係
溶融保持時間は、コンベア速度と密接にリンクしています。
- 速度が速い → 溶融保持時間が不足しやすく、未溶融や濡れ不足の原因
- 速度が遅い → 保持時間が長すぎ、フラックス劣化や過熱ダメージにつながる
そのため、温度設定だけでなく速度調整を含めた総合バランスが不可欠です。
実務でのチェックポイント
温度プロファイル設計時には、以下を重点的に確認すると再現性が高まります。
- 昇温速度:1.3〜1.4℃/秒
- 溶融保持時間:40〜60秒が目安
- 上下ヒーターの熱バランス調整
- 部品やランドの配置による温度差補正
まとめ
「溶融保持時間」はリフローの安定性を左右する最重要パラメータの一つです。
短すぎても長すぎても不良要因となるため、速度・温度・部品配置の三位一体で最適化を図ることが欠かせません。