リフロー炉の昇温速度とは?最適条件と不良対策を解説

昇温速度とは?

昇温速度とは、リフロー炉に入った基板の温度が時間あたり何℃ずつ上昇するかを示す指標です。通常「℃/秒」で表され、リフロー工程における温度プロファイルの基本要素のひとつです。

昇温速度が品質に与える影響

速度が遅い場合

フラックス活性が不十分となり、酸化膜の除去や濡れ性改善の効果が弱まります。その結果、未はんだや濡れ不良が発生しやすくなります。

速度が速い場合

部品内部まで熱が届かず、表面だけが加熱されてしまいます。さらに急激な温度変化により、フラックスが暴発しはんだボールやボイドが発生するリスクが高まります。

適正な昇温速度の目安

実装現場で多くの事例をもとにすると、以下がひとつの基準になります。

  1. 昇温速度:1.3〜1.5℃/秒
  2. 急激な温度変化を避け、均一な加熱を意識
  3. 基板の熱容量や部品密度に応じて微調整

昇温速度とコンベア速度の関係

昇温速度は、リフロー炉の設定温度だけでなく、コンベア速度によっても大きく左右されます。速度が遅ければ長時間加熱され、速ければ短時間しか熱を受けません。
つまり、温度設定と同じくらいコンベア速度の調整は重要で、最初のプロファイル設計段階で重点的に検討すべき項目です。

実装現場でのポイント

  • フラックス活性がピークを迎えるタイミングを意識する
  • 部品実装密度が高い場合は速度をやや遅めに設定
  • 大型部品と小型部品の温度差(ΔT)を測定しながら最適化

まとめ

昇温速度は、リフロー炉の温度プロファイル設計において品質を大きく左右するファクターです。基板や部品の条件ごとに最適値を探ることが、安定した実装品質の第一歩となります。

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