温度プロファイルは、リフロー工程において部品やフラックスの性能を最大限に引き出し、不良を防ぐための加熱条件の設計図です。特に鉛フリーはんだでは、融点の高さと熱負荷の増大により、最適化の重要性が高まっています。
目次
温度プロファイルの決定要因
温度プロファイルは、使用するフラックスの熱特性、装置の性能、基板や部品の材質・サイズ・設計バランスによって決まります。特に基板のメッキ仕様や厚みは濡れ性に大きく影響します。
フラックス特性の影響
フラックスは酸化膜除去や濡れ性改善に重要な役割を持ちますが、高温に弱く劣化しやすいものもあります。適切な温度制御により効果を最大限発揮できます。
装置・部品・基板設計の影響
基板の厚みや部品の配置、サイズは熱の伝わり方に大きく関わります。過度なコストダウンによる低品質な素材は、温度プロファイルの設計を難しくします。
温度プロファイルの構成
一般的には「予熱部(プリヒート)」と「本加熱部(リフロー)」、そして冷却部に分かれます。特にプリヒートはフラックスの活性維持や飛散防止に直結します。
プリヒートの役割
- フラックスの化学反応を安定させる
- 部品全体を均一に加熱する
- 急激な温度上昇による熱ショックを防ぐ
プリヒート条件の最適化
一般的には、基板全体を110〜120℃程度に均一加熱します。過剰な加熱はフラックス劣化や部品ダメージの原因となるため注意が必要です。
部品リード間の温度差(ΔT)対策
ΔTが大きいと、一部の部品に過剰な熱がかかり不良を誘発します。大型リフロー炉や不適切なプロファイルでは特に注意が必要です。
- プリヒート時間を調整し、温度差を緩和
- 下部ヒーターを活用して均一加熱
- 部品配置を考慮して熱負荷の集中を回避
熱移動と上下ヒーター活用
上部ヒーターは主に部品リードから熱を伝え、下部ヒーターは基板ランドを直接加熱します。熱風を抑え、遠赤外線を併用する方式では、フラックス劣化を抑えながら効率的な加熱が可能です。
まとめ
温度プロファイルは、鉛フリーはんだ実装の品質を左右する最重要パラメータです。フラックスの特性、部品や基板の仕様、装置の加熱方式を総合的に考慮することで、ΔTを抑えつつ安定したはんだ付け品質を実現できます。