はんだリフローにおける温度プロファイル不良と対策完全ガイド

リフロー工程では温度プロファイルの最適化が、はんだ付け品質を大きく左右します。
しかし実装現場では「ボイド」「サイドボール」「濡れ性不良」など、温度条件の乱れや不適切なプロセスによって多くの不良が発生します。
本記事では、それら代表的な不良の発生要因とメカニズム、そして有効な対策を体系的に整理します。

温度プロファイルと不良発生の関係

温度プロファイルは、プリヒート、ソーク、リフロー、冷却の各ステージで適切な条件を満たすことが重要です。
特に以下のような偏りがあると不良の温床となります。

  1. プリヒート不足: フラックスが十分に活性化せず、酸化膜や不純物の除去が不十分となり濡れ性不良が発生。
  2. ソーク時間不足: 部品や基板間の温度差が吸収されず、局所的な過熱や未溶融を引き起こす。
  3. ピーク温度不足: はんだが完全に溶融せず、ボイドや未濡れ箇所を残す。
  4. 過度なピーク温度: フラックス劣化や部品の熱ダメージを招く。
  5. 冷却過程の急激な変化: 金属組織に歪みが生じ、クラックや信頼性低下に直結。

代表的な不良と原因・対策

1. ボイドの発生

ボイドははんだ内部に残る空洞で、電気抵抗や熱伝導の悪化を招きます。
主な要因は以下です。

  • フラックスの揮発成分がガス化し、排出されずに残存
  • 温度上昇速度が速すぎ、ガスが抜けきる前に凝固
  • ソーク不足により、溶融均一性が不十分

対策: 適切なソーク時間設定、緩やかな昇温、フラックスの見直し。

2. サイドボール(チップ部品)

チップ抵抗やコンデンサの側面に小さなはんだ玉が飛散する現象です。
これははんだ量過多や、フラックスの活性不足が主因です。
また、コンベア速度が速すぎてリフロー中の安定性を欠いた場合にも起こります。
対策: 印刷量の最適化、マスク開口設計の見直し、フラックス性能の安定化。

3. 濡れ性不良

はんだがパッドやリードに十分に広がらず、接合面積が不足する不良です。
フラックスの劣化、基板表面の酸化、プリヒート不足などが要因です。
信頼性低下のリスクが大きいため、特に注意が必要です。
対策: プリヒートで十分に酸化膜を除去、保管環境改善、フラックスの鮮度管理。

実装現場でのチェックポイント

不良を未然に防ぐには、実装現場での管理がカギを握ります。特に以下を重視しましょう。

  • 昇温速度は 1.0〜1.5℃/秒を目安に設定
  • ソーク時間は部品サイズや基板厚に応じて柔軟に調整
  • ピーク温度は 235〜250℃、溶融保持時間は 40〜60秒を確保
  • 冷却は緩やかに行い、急冷は避ける

まとめ

温度プロファイルのわずかな乱れが、不良の発生率を大きく左右します。
ボイド、サイドボール、濡れ性不良といった代表的な不良も、正しいプロファイル設定と材料管理で大幅に減少させることが可能です。
本記事をハブとして、各不良現象ごとの詳細記事もあわせて確認することで、実装現場での改善活動に直結します。

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