リフロー炉における溶融保持時間とは?最適条件と不良対策

溶融保持時間とは?

溶融保持時間とは、リフロー工程ではんだが融点以上の温度に達してから、どれだけその状態を維持するかを示す時間です。英語では「Time Above Liquidus(TAL)」と呼ばれることもあります。

なぜ重要なのか

溶融保持時間は、はんだが確実に濡れ広がり、部品端子やランドと強固に接合するための決定的な要素です。時間が不足すると濡れ不良や強度不足を招き、逆に長すぎると部品や基板に熱ダメージが蓄積します。

溶融保持時間が短い場合

  • はんだが十分に広がらず、未はんだ・濡れ性不良が発生
  • 接合強度が不足し、振動や熱ストレスで断線リスクが高まる

溶融保持時間が長い場合

  • 部品や基板に過剰な熱ストレスがかかる
  • フラックスの活性成分が失われ、ボイドやはんだクラックが発生

適正な溶融保持時間の目安

  1. 鉛フリーはんだ:40〜80秒程度
  2. 鉛入りはんだ:30〜60秒程度
  3. 部品の耐熱性を考慮し、長すぎない範囲で確実に濡れ性を確保

溶融保持時間の調整方法

以下の条件を変えることで溶融保持時間をコントロールできます。

  • コンベア速度を遅くすると保持時間は長くなる
  • ピーク温度をやや上げると到達後の滞留が安定
  • ゾーン設定を見直し、均一に融点以上の温度を確保

実装現場でのポイント

  • 「溶融保持時間」と「ピーク温度」はセットで最適化する
  • 特にBGAやQFNなど微細ピッチ部品では保持時間不足が即不良につながる
  • X線検査や断面観察でボイド・濡れ状態を確認すると効果的

まとめ

溶融保持時間は、リフロー品質を決定づける最重要パラメータです。短すぎても長すぎても不良リスクが高まるため、基板仕様・部品構成に合わせた最適化が不可欠です。

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