印刷工程で発生する代表的不良と対策まとめ

印刷位置精度とセルフアライメントの関係

基板実装において、はんだ印刷の位置精度は歩留まりを大きく左右します。特に近年の微細化・高密度化基板では、わずかな印刷ズレがブリッジや濡れ不足、位置ずれ不良に直結します。一方で、リフロー工程ではセルフアライメント効果が働き、ある程度のズレは自動補正されます。つまり「どこまでズレを許容できるか」を理解することが品質管理のポイントとなります。

XY方向のズレ

ランドに対してはんだが左右や上下にズレて印刷されるケースです。一般的に±50μm程度のズレであれば、リフロー時のセルフアライメントで補正可能とされています。しかし、QFNやBGAなど微細ピッチ部品では許容範囲が±25μm程度と厳しく、印刷機のキャリブレーションや基板固定精度が非常に重要になります。

Z方向(印刷厚み)のズレ

XY方向のズレと異なり、Z方向はセルフアライメントで補正できません。印刷厚みが不均一であったり、基板が反っていた場合には、リフロー時にはんだ量不足や過多を引き起こし、ブリッジやボイドにつながります。このため、メタルマスク厚みやペースト粘度管理、基板平坦性の確保が欠かせません。

セルフアライメント効果とは?

セルフアライメントとは、リフロー時にはんだの表面張力が働き、部品を自動的にランド中央へ引き寄せる現象です。特にチップ部品ではこの効果が顕著で、±50μm程度のズレであれば自然に修正されることが多いです。しかし、以下の条件下では補正力が弱まります。

  • 鉛フリーはんだ(融点が高く、表面張力が弱い)
  • 大型部品(慣性が大きく補正しきれない)
  • プリヒート条件が不適切(フラックス効果が失われる)

位置精度を確保するための対策

  1. 印刷機の定期キャリブレーション:特に微細ピッチ対応では必須
  2. 基板固定精度の向上:吸着機構や治具で反りを抑制
  3. メタルマスク厚みの適正化:ランドごとに厚み設計を最適化
  4. はんだペーストの粘度管理:ロットや保存状態による粘度変化を把握

まとめ

印刷位置精度は、セルフアライメントに頼ればよいというものではありません。特にZ方向の厚み誤差は補正が効かないため、工程設計段階から印刷機精度・マスク設計・基板管理を徹底することが必要です。セルフアライメントは「最後の保険」であり、頼り切るのではなく、前工程での精度確保が実装品質を決定します。

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